昨夜、私の住処から少し離れた所のラーメン屋で夕飯を食べた。
通称 「 ビフテキラーメン 」 。
通称と言うのは私が勝手に付けたネーミングで、 「 味噌豚肉煮込麺 」 がメニュー上の正式な呼称。
私がまだ小学〜中学生の頃、親に連れられてたま〜に食べに行っていたこのラーメンは、至高の贅沢品だった。
大人になった今でも、その頃の気持ちを思い起こさせてくれる一品なのだ。
通称 「 ビフテキラーメン 」 ¥850私が幼かった頃読んだマンガ本の中に、ナイフとフォークを持って 「 ビフテキ! ビフテキ!! 」 と連呼している絵があった。
それはとても高級な食べ物として描かれていたため、私の中で 「 ビフテキ ( = ビーフステーキ ) 」 とは、とにかくハイソな食べ物として脳に擦り込まれた。
親に 「 ビフテキが食べたい 」 とお願いしたこともあったが、恐ろしいくらいに高価だからと聞き入れてもらえなかった。
( 高い理由もあっただろうが、父母とも牛肉があまり好きではなかったという理由が大きかったと、後になって思った。 )
ビフテキは普通の家庭では食べられないくらいに高価・・・恐らくそれは一口でも食べたなら、気絶してしまうくらいに美味い禁断の肉 。 。 。
幼かった私の妄想は膨らむばかり。
そんなある日、親に連れていってもらったラーメン屋に、デカい肉の塊が乗っているラーメンを発見した。
家で食べていた細々とした肉とは、明らかに格の違う大きさと厚さ。
メニューに 「 豚肉煮込 」 と記してあったとは思うが、豚だろうが何だろうが肉の塊 ( 当時の私は、肉の塊 = ビフテキだった ) が、しかも好きなラーメンに乗っているという目の前の事実は、幼かった私のハートをわしづかみにした。
注文して運ばれてきたラーメンの上に乗る肉塊に噛り付く・・・その時の味は、正直なトコロ覚えていない。
ただ、箸で掴んでも零れる程に柔らかく、一口食べても無くならない! と驚愕したことは鮮明に覚えている。
その後その肉が 「 ビフテキ 」 ではないと理解しても、私の中では 「 ビフテキラーメン 」 として、食べ物の中では孤高の存在だった。
高校生の頃、夜中に家を抜け出し、自転車でこのラーメンを食べに行っては、ちょっと大人になれた気分に浸れたものだ。
新潟人はラーメン好きな県民性だと思う。
新しいラーメン屋は次々に建ち、ローカル番組や地域情報誌などでラーメン特集が組まれることは多い。
それだけにラーメンのレベルも高く、客の入らない店は早いうちに淘汰されてしまう。
その中にあってこの 「 ビフテキラーメン 」 のある店は、決して客の入りが多いワケでもなく ( かと言って少ないワケでもなく ) 、味もごく普通。
TVや雑誌の特集に取り上げられることも皆無。
同じ道沿いに人気店があるにも関わらず、ずっと以前・・・少なくとも私が小学校低学年の頃・・・から存在し続けている。
( 強いて利点を言うならば、駐車場が広い。 席がたくさんある。 深夜晩くまで営業している。 )
これからも、それほど流行らなくていいから ( 大きなお世話でしょうけど ) 、私の贅沢の原点として在り続けてほしいものである。
私はいつか、本物のビーフステーキをラーメンに乗せて食べてみようと思っている。
しかし、それを達成した時、大きな贅沢感を得られると共に、何かを失ってしまうかもしれない・・・という、つまらん心配をしてしまう私なのだった。




















