霧の中で

この前の日曜 (5月25日) の午後のこと。

新潟は一日中天気が悪く、もやのような、霧雨のような、ぼんやりとした白い空気に包まれた日だった。 

景色を眺めるのには、晴れているのに越したことはないのだが、雨や霧がかった天気にしか見られない風景もあるもの。。。 

などと思い、車で所用に出かけた帰りに、ちょっと近くの山に立ち入ってみたのだった。

mist・1  mist・2
 

あまり利用価値もなく、普段の晴れた日でも薄暗いこの暗い峠道は、この霧に濡れてひんやりとした空気に包まれていた。 

細い峠道を上って行くと、霧は一段と濃さを増し、樹々の間に立ち込めて幻想的な風景を作り出してした。

mist・4  mist・5





日もどっぷりと暮れ、さらに暗くなってきたので、車に乗り込み今来た道を引き返すことにした。

下って行く途中、脇に延びる一本の細い道が目に入った。
来る時には気がつかなかったのだが。

mist・6 『立入禁止』

地図には載っていない道のようだが。。。
車から降りて、立入禁止の向こうへ少しだけ行ってみることにした。

ほんの少し入っていったら、道は覆い茂る草木にかき消されていた。

これ以上は行けないのか。 
そう思っていたら、目の前の藪から男と女が歩いてきた。

山菜取りだろうか? こんな薄暗い日に?

mist・8


私が驚いてあっけにとられていると、男は
「この先は行き止まりですよ」 と私に言った。

行き止まりなんですか?と聞こうとしたら、今度は女性のほうが
「私達はまだ仲良く暮らしていますから、立ち入らないでくださいね」 と私に告げた。

二人とも若いのか歳をとっているのか、よく判らない顔立ちだ。
が、着ている服装は、明らかにひと昔・・・いや、ふた昔は前のものだった。

女性の言葉の意味を考えようとしているうちに、男と女は私の後ろへ去って行った。
二人が遠くに立ち去るのを見届けた後、私はあまり深く考えることなく藪の中へ道を辿った。

草木をかき分け、しばらく進むと、目の前に広場が開けた。

そこには、原型を留めないほどに崩れ落ちた、廃屋と

傾きかけたいくつかの、墓石が、

霧の中に虚しく押し黙ったまま、立ち並んでいるだけだった。



気配を感じた。 

誰かが、見ている。


後ろに、

私の後ろに、何かが揺らめいている 。 。 。














そんな、ありふれた安っぽい怪談を 『立入禁止』 の前で妄想し、独り身震いしてみたのだった。

こんな霧の濃い日、先の見えないカーブの向こう側に、異空間への入り口が、ぼんやりと、待っているのかもしれない。

mist・3


2008年05月30日 | Comments(26) | Trackback(0) | 車・ドライブ
コメント
神秘的ですね!
こんばんは、くらげさん!
幻想的な風景ですね!
何か引き付けられます。
立入禁止の道って興味がありますね〜
そういうところ、行ったことがあるような・・・ ^^
くまくん URL 2008年05月30日 00:49:54 編集
「非日常」というものは、案外身近な「日常」の中にいきをひそめていたりする、、、。
そんな気にさせる、神々しいまでの景色ですね、、
見張り員もそこに立ったら何が見えるでしょう、、?
見張り員 URL 2008年05月30日 01:10:30 編集
美しい!実に美しい写真で惚れ惚れしちゃいました〜!!
おまけに、文章のセンスの良さにグッときました。
異空間への入り口・・・あったらどうします?入りますか?
私は間違いなく入って行くでしょうね。もしかしたらある意味、
こうやってスクリーンを通して、くらげさんの魅力に
引き込まれている私は既に異空間に入り込んでいるのかも?(笑)
*Lunette* URL 2008年05月30日 02:27:01 編集
起きててよかった。

もうそう、、、だったんですか(-"-)
見て来たようでしたよ。
ホントかと思って、読みながらわたしも妄想していたんですけど。。。

悪戯デスネ。

写真については明日きますね。
★☆★
Fuwari Funwari  URL 2008年05月30日 02:55:24 編集
ぎゃー
こんばんわ
こわいっすよ。
どれかの写真拡大したらナンか写っていたってことないでしょうなv-12
妄想もほどほどに心の臓に悪いですぞ
『僕の』v-9
イチウマ URL 2008年05月30日 03:24:00 編集
おはよ〜う〜ございます〜・・・

朝から 何気なく読んでたら・・・怖いです・・・背筋に何か感じてしまいました・・・
でも 更に想像させるあの台詞・・・
今日は 仕事をしながら、妄想の続きを 想像してみます・・・・ 
^^)
イノぶた URL 2008年05月30日 07:59:12 編集
写真うまいですねー。
日記も面白いです。
あ、足跡からきました。はじめまして。
画家をやっているM/F ARTです。

そういえば、こういう怪談話、長野の方にほんとにあるらしいですよ。
地元では有名らしく・・・

知り合いが冗談半分でそこに行ったら、とんでもない目にあって、ニ度とそういう場所には行かないと心に決めたそうです。

ヒヒヒヒ・・・・
M/F ART URL 2008年05月30日 11:04:59 編集
夜更かしして、ドアを開けた瞬間、息を呑みました。(くらげさんのブログでは、よくあることですが。笑)
漏れてくる光と、どこかに続く道、辿り付いた林。幻想的な色と風景。
くらげさんの写真は、見えないものも一緒に切り取ってくるから凄い。
写真の中から声が聴こえる気がします。何の声だろう。。。地球の声なのかな、自然の息吹なのかな。
それとも、深い山奥で、何年も愛情だけを糧に生きている二人の魂の声かな。
Mist。写真からも詩が見えるんだね。
もやの中で出逢ったこの二人の愛は、くらげさんの持つ愛の形かな。我儘なバイク野郎を見守る、妻への愛の想いだね。
めっちゃ長いね。あんまりきれいだったから、ごめんちゃ。
Fuwari Funwari  URL 2008年05月30日 12:02:10 編集
くらげさん、こんばんわ♪
最初の写真を見て、チョット、身震いしちゃったv-12ウ〜ん、私一人では、とても行けないです〜、くらげさんがご一緒なら行けるかも(ウフ)
ここは、危険区域だと思うのですよ、出会った二人というのも・・・わかるでしょ〜(ドキッ)
お願いだから、もう行かないで下さいね、ジョーダンじゃぁないですよ、本当にv-7
ガケっぷち主婦 URL 2008年05月30日 17:51:02 編集
すっごい幻想的ないいお写真ですね。
綺麗な〜と文章を読んでたら。。。
妄想が怖い〜〜〜。
読みながらゾッとしてしまいました。
そういうお話は真夏にお願いしま〜す(笑)
ぺこ URL 2008年05月30日 17:55:15 編集
ちょっと寒気が・・・(笑)。
霧の森のようで、雰囲気のある妖しい写真です〜
これはこれで、とっても素敵。
雨や霧の日にしか見られないものですものね。

いつも応援★☆。.:*:・"゚★('-^v)Thanks(v^-')★。.:*:・"☆★

応援ポチッ♪
さざなみ URL 2008年05月30日 20:46:35 編集
ギャー
こんばんわ
訪問・コメントありがとうございます。
写真、見てみたんですが幻想的で良いです。
全部にどこかに何かが写ってそうな‥
霊感ないでわかりませんがv-12
そろそろ違う記事に漂っていきましょうv-10
イチウマ URL 2008年05月30日 21:02:11 編集
ミステリアスなシーンが、うまく書けていますね。文章もおもしろしです。この風景から、霧に包まれた幻想的な世界につながっていると連想されるのも、うなずけます。霧と樹林はうまく調和して、いい写真が撮れましたね。わたしも、こんな写真が撮りたいです。
ぺんち URL 2008年05月30日 21:36:22 編集
いぃ話かと思いきや!!怖い話だったんですねぇ〜(≧ヘ≦)モォー!!
写真はくらげさん撮影ですか??
幻想的でとても素敵です!!写真は・・・(○`ε´○)プンプン!
楓 URL 2008年05月30日 23:09:10 編集
こんばんわ〜(=^_^=)
写真いいですね〜♪
撮り方がすごく上手です!
おいらじゃこんなにキレイに取れないですよ!

怖い話もこの時間帯にはなかなか良かったですよd(^^*)
異空間への入り口は戻ってこられるなら行って見たい気もしますが(⌒_⌒;
なり×なり URL 2008年05月31日 00:29:06 編集
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  2008年05月31日 01:49:11 編集
バイクに乗ってると
身震いすること想像するときありました。
結構、縁起は担いでたし^^

写真素敵です。
幻想的なシーンを目撃すると、
得した気持ちになります(^.^)
shion URL 2008年05月31日 07:04:12 編集
おはようございます。
幻想的な写真ですね。
霧に包まれた木立から、山の静寂さを感じ受けました。


>>目の前の藪から男と女が歩いてきた。
やばいですね・・・
その二人は、この土地に憑いている自ば・・・


なんちゃって(;^ω^)
くじら URL 2008年05月31日 08:01:04 編集
いつもながら、素敵な写真をとりますね〜v-218

お話にでてくる峠の写真に思わず
空想していますv-47

応援ぽちっ★
COCORO URL 2008年05月31日 09:47:58 編集
くらげさんが本を出したら、2番目の本はわたしが予約しておきますね。
サインも宜しく。
Fuwari Funwari  URL 2008年05月31日 10:30:03 編集
なかなか楽しかったですょ
こういうのって大好きです(笑)
妄想ミステリー大賞!
MM親方 URL 2008年05月31日 10:58:54 編集
新潟には何かがある。金沢の作家泉鏡花を思わせる世界ではありませんか。しばし現実を離れ幻想の世界を楽しまれた、否恐怖を感じられたことでしょう。くらげさんの鼓動が伝わってきます。
びわ湖を望むライダー URL 2008年05月31日 12:44:48 編集
小天を連れてたら大丈夫よ(爆)
くらげさん!なにか心境の変化がお有りになったのかしら!?
幽玄の世界の住人も正しい心根の人に害を及ぼすことはないのよ。

>目の前の藪から男と女が歩いてきた。

これは既に幽玄の世界に入ってらっしゃるのね。
悪戯はダメでちゅよ〜♪ 小泉八雲のファンなの?
小天 URL 2008年05月31日 14:39:24 編集
え〜〜
どこからが妄想なんですか〜
さえも 想像してちょっと ゾゾ〜としました〜^^;

だけど そういう妄想も現実にありそうな そんな雰囲気の所ですね…
夏にはいいかも…

(゜-^*)σ
さえ♪ URL 2008年05月31日 14:59:09 編集
くらげさん。久々にブログ覗いてみたら・・・・怖かった。
ブログ巡りは真夜中が多いけど、
こあいよーw
ミズナラ URL 2008年06月04日 02:46:53 編集
くらげさん、おはようございます。
迂回してお邪魔した先は、
くらげさんの良いとこしか見えず、
余計悲しくなりました。
Fuwari Funwari  URL 2008年06月05日 07:42:48 編集

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